板橋区前野町のアトリエ整骨院、院長の原島です。

今日は近況のご報告と、そこから見えてきた「術後のお腹」の話をさせてください。少し個人的な内容から始まりますが、後半はお腹の手術を受けたことがあるすべての方に関わる、腹圧と体幹のお話につながっていきます。
「瘢痕ヘルニア」と診断されました
昨日(2026年8月20日)の通院で、瘢痕(はんこん)ヘルニアという診断を受けました。手術の傷あとの部分で、お腹の壁を支えている筋膜が裂け、そのすき間から小腸が押し出されてくる、という状態です。
現時点では経過観察。飛び出した部分が戻らなくなったり、痛みが出てきたりした場合には手術、という方針になりました。
正直にお伝えすると、がんの診断を受けたときよりも、少しショックだったかもしれません(苦笑)。

2025年8月に判明した胃がんのときは、母が膵臓がんのステージ4という重篤(じゅうとく)な状態だったのと、痛みもまったくなかったので、「風邪ですね」と言われたのと同じくらいの受け止め方でした。それに比べると今回は、治療が終わりに近づいたところで思いがけず出てきた不具合だったぶん、不意打ちのように感じられたのかもしれません。
ただ、原因がはっきり分かったことで、日常でどう付き合っていけばいいかが見えてきました。分からないまま不安を抱えているより、ずっといい。今はそう感じています。
瘢痕ヘルニアは、なぜ手術の傷あとに起こるのか
お腹の手術では、皮膚だけでなく、その下にある腹壁(ふくへき)も切開します。腹壁は腹直筋などの筋肉や筋膜、その他の組織が層になって重なり、内臓を支える「壁」の役割をしています。
切開した部分は手術後にしっかりと縫合されます。しかし、傷が治ったあとも、手術前とまったく同じ強度の組織に戻るとは限りません。特に筋膜にできた傷あと(瘢痕)は、もともとの組織と比べて強度の弱い部分として残ることがあります。
そこへ、咳やくしゃみ、力む動作、重い物を持つ動作などによって、腹腔の内側から繰り返し圧力(腹圧)がかかります。弱くなった部分に負担が集中し、時間が経つにつれて少しずつ隙間が広がっていく。その隙間から腹膜や腸などが外側へ押し出される状態が、瘢痕ヘルニアです。
起こるまでの流れ
お腹の手術で腹壁を切開する
↓
傷あと(瘢痕)に、強度の弱い部分が残る
↓
咳・くしゃみ・力み・重い物を持つなどで腹圧がかかる
↓
弱い部分に、繰り返し負担が集中する
↓
腹壁に隙間ができる
↓
その隙間から、腹腔内の組織が押し出される
「腹圧が高いから必ず起こる」わけではない
ここは誤解されやすいところですが、腹圧がかかること自体が原因のすべてではありません。手術創の治り方、創部の感染の有無、体重、喫煙、糖尿病など、さまざまな要因が関係するといわれています。
ですので、「自分の腹圧のかけ方が悪かったのでは」と、ご自身を責める必要はまったくありません。私自身、診断を受けたときに真っ先に頭をよぎったのがその考えでしたが、実際にはもっと多くの要素が絡み合っています。
数か月〜数年経ってから気づくこともある
もうひとつ知っておいていただきたいのが、発症の時期です。手術直後ではなく、数か月から数年が経ってから膨らみに気づくケースもあります。
「手術の傷はもう治ったから大丈夫」と思っていても、次のようなサインがある場合は、瘢痕ヘルニアの可能性があります。
- 傷あとの周辺に、膨らみが出てきた
- 立ち上がったとき、力んだときに、ポコッと出てくる部分がある
- 横になると、その膨らみが引っ込む
- 傷あたりに、以前はなかった違和感や引きつれを感じる
思い当たる方は、手術を受けた医療機関、または外科にご相談ください。整体や施術で判断できる範囲ではありませんので、まずは診断を受けていただくことが第一歩になります。
そして大前提として、裂けた筋膜そのものが自然にふさがることはありません。ストレッチや運動、テーピングで「治る」性質のものではないという点は、はっきりとお伝えしておきます。腹帯やテーピングは、あくまで日常の負担をやわらげるための補助です。
※ 次のような症状があるときは、すぐに医療機関へ
飛び出した部分が押しても戻らない/急に強い痛みが出た/その部分が赤黒く変色している/吐き気や嘔吐をともなう。これらは「嵌頓(かんとん)」といって、腸への血流が妨げられている可能性がある状態です。様子を見ずに、救急も含めてすぐに受診してください。整体や施術で対応すべき場面ではありません。
お腹の壁が弱くなると、体幹全体に影響が及ぶ
ここからが、施術者としての目線で改めて実感していることです。
お腹の中の空間(腹腔)は、よく風船にたとえられます。上のフタが横隔膜、下の底が骨盤底筋群、前と横をぐるりと囲むのが腹横筋、そして後ろを支えるのが背骨と多裂筋。この4つがそろって、はじめて中の圧力=腹圧が安定します。
腹圧は、体幹を内側から支える「見えない柱」のような働きをしています。重いものを持ち上げるとき、立ち上がるとき、歩くとき。私たちは無意識のうちに腹圧を高めて、腰への負担を分散させています。
つまり、風船の壁のどこかに弱い部分ができると、うまく圧が保てなくなる。すると身体は、その不足を別の場所で補おうとします。腰の筋肉が過剰にがんばる、肩や首に力が入る、呼吸が浅くなる。お腹の問題が、お腹だけにとどまらない理由がここにあります。
術後、腰や肩に不調が出てくる方が少なくない理由
当院にも、お腹の手術を経験された方が来院されます。帝王切開、虫垂炎、胆のう、婦人科系、消化器系。手術の内容はさまざまですが、共通して聞かれるお話があります。
「手術のあとから、腰が重い」
「お腹に力が入りにくくなった気がする」
「深く息が吸えない感じがする」
傷そのものは治っていても、そこをかばう身体の使い方が習慣として残ってしまうケースは、決してめずらしくありません。傷あたりを無意識に守るように背中が丸まり、呼吸が浅くなり、横隔膜の動きが小さくなる。すると腹圧が高まりにくくなり、その代わりに腰や首がはたらきすぎる——という流れです。
当院が普段から大切にしている「足 → 骨盤 → 呼吸 → 自律神経」というつながりの中でも、呼吸と腹圧は真ん中に位置する要素です。ここが働きづらくなると、上にも下にも影響が広がっていく。私自身が当事者になったことで、その実感がより具体的なものになりました。

私がいま、意識していること
主治医の方針を前提としたうえで、日常の中で気をつけていることをいくつか挙げてみます。
- 急に腹圧が跳ね上がる場面を減らす/息を止めて力むこと、重いものを一気に持ち上げること、排便の際にいきむこと。この3つは特に注意しています。
- 起き上がり方を変える/仰向けからそのまま起き上がらず、一度横向きになってから、腕の力を使って起きる。お腹への負担がかなり変わります。
- 息を吐きながら動く/立ち上がる、持ち上げる、といった動作のときに息を止めない。呼吸を止めないだけでも、内側にかかる急な圧は違ってきます。
- サポートのテーピング/負担のかかりやすい場面に備えて、部位を支える方向にテーピングをしています。これは修復のためではなく、日常の動作をラクにするための補助です。
- お通じを整える/腸内環境と向き合うことは、いきむ回数を減らすという意味でも、私にとって今まで以上に切実なテーマになりました。私自身もノーカウントを毎日の習慣に取り入れています。
私はキネシオテーピング協会でテーピングを学んできました。だからこそお伝えしたいのですが、テーピングは貼る位置や方向を誤ると、かえって動きを妨げてしまうことがあります。また、使われている接着剤が肌に合わず、皮膚トラブルにつながるケースもあります。
特に術後の傷あと周辺はデリケートです。ご自分で試される前に、必ず主治医にご相談ください。
お腹の手術を受けたことがある方へ
「手術は無事に終わったのに、なんとなく身体の調子が戻りきらない」。そう感じている方は、思っている以上に多くいらっしゃいます。
その背景に、呼吸の浅さや腹圧の使いにくさ、かばう姿勢のクセが関わっていることがあります。もちろん、傷そのものや内臓の状態については医療機関の領域ですので、まずは主治医にご相談いただくことが大前提です。
そのうえで、身体の使い方や姿勢、呼吸の面から整えていくことは、私たちがお手伝いできる部分だと考えています。当院では歩行姿勢分析を通して、その方が今どんなふうに身体を使っているのかを一緒に確認するところから始めています。「手術のあと、こんなことが気になっていて」と、遠慮なくお話しください。
抗がん剤治療、いよいよ最後のサイクルへ
最後に、治療の近況です。今日(2026年8月21日)から1か月の抗がん剤治療が始まりました。そして次回の通院が、いよいよ最後のサイクルとなります。
ここまで来られたのは、通院しながらの営業を温かく見守ってくださった患者さまのおかげです。ゴールが見えてきたところで新しい課題も出てきましたが、これも一つひとつ向き合っていきます。
こうした経験は、正直しんどいことも多いのですが、施術者として得られるものも確かにあります。痛みや不安を抱えて来院される方の気持ちに、少しだけ近いところから寄り添えるようになった気がしています。
院では今日も、看板娘のおこめが、のんびり皆さまをお待ちしています。なお、店長のむぎは本日、リモートワーク中のため、出勤はしておりません。

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アトリエ整骨院
東京都板橋区前野町3-25-5
都営三田線 志村坂上駅 徒歩11分
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※本記事は院長個人の体験と、身体の使い方に関する一般的な考え方をお伝えするものです。診断・治療については必ず医療機関にご相談ください。


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アトリエ整骨院(板橋区前野町)店舗概要
| 院名 | アトリエ整骨院 (板橋巻き爪補正センター 併設) |
|---|---|
| 住所 | 〒174-0063 東京都板橋区前野町3-25-5 |
| 電話番号 | 03-6279-8183 巻き爪専用ダイヤル:070-8404-7476 |
| 営業時間 | 月・木・金 10:00〜20:00 土曜日 9:00〜20:00 日曜日 10:00〜16:30 祝日 時間不定(営業カレンダーをご確認ください) ※完全予約制 |
| 定休日 | 火曜日・水曜日・年末年始 |
| 施術者 | 原島 勇人(柔道整復師/国家資格) 臨床20年・約90,000症例 |
| お支払い方法 | 現金・各種キャッシュレス決済に対応しております。 お支払い方法の詳細はこちら |
| 駐車場 | 専用駐車場はございません。 お車でお越しの際は、近隣のコインパーキングをご利用ください。 ※周辺の商業施設の駐車場をご利用の場合は、各店舗の利用規定に従ってください。 |
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